クラス40人で見る日本の働き方

この記事のポイント
  • 雇われて働く人のうち、非正規雇用は約37%(3人に1人以上)
  • ひきこもり状態の人は全国で約146万人、およそ50人に1人
  • ヤニねこは引きこもりではなく「限界生活者」。家族という保護膜すらなく、統計に表れにくい

統計を「クラス」に縮めてみる

「ヤニねこみたいな人って、本当にいるの?」という疑問は、感覚ではなく統計で考えてみると見え方が変わります。

ここでは、公的な調査の数字をもとに、15〜64歳の人をざっくり「クラス40人」に置き換えてみます。あくまでイメージをつかむための概算です。

クラス40人のうち人数の目安元になる考え方
正社員などで働く人約17人就業率(約8割)と、雇用者の正規比率(約6割強)から
パート・アルバイト・派遣など約10人雇用者の非正規比率(約37%)から
自営業・フリーランス・会社役員など約5人就業者のうち雇われていない人
学生・家事・求職中・その他約8人働いていない約2割
(うち、ひきこもり状態)約1人内閣府推計:約50人に1人
数字の見方
  • 就業率や非正規比率は、総務省「労働力調査」の近年の水準をもとにした概算です。
  • ひきこもりは「働いていない人」の中に含まれ、重なりがあります。

非正規は雇用者の4割近く

総務省の労働力調査によると、役員を除く雇用者のうち、パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用は約37%を占めています。

クラスで言えば、会社などに雇われて働いている人のうち、3人に1人以上が非正規という計算です。

これに自営業やフリーランス、働いていない人が加わります。「定職について安定して働いている人」は、思っているほど多数派ではありません。派遣で働く世代のつらさは、当サイトのロスジェネ世代が派遣で生きる辛さでも取り上げています。

ひきこもりは約50人に1人

内閣府が2023年に公表した調査では、15〜64歳のひきこもり状態の人は全国で約146万人と推計されています。割合にすると、およそ50人に1人です。

クラス40人なら、1人いてもおかしくない計算になります。誰かが特別なのではなく、どのクラスにも起こりうる身近な現象だということです。

ヤニねこは「引きこもり」ではなく「限界生活者」

ただし、『ヤニねこ』の主人公は、部屋に閉じこもって親に養われている純粋な引きこもりとは少し違います。

引きこもり限界生活者(ヤニねこ型)
生活費家族の経済力に頼ることが多い日雇いやたかりで自分で工面する
行動範囲部屋の中でほぼ完結欲求のためにコンビニ・パチンコ・現場へ出る
保護膜家族という保護膜がある保護膜がない
統計での見え方調査で把握されやすい住所が不安定で把握されにくい

タバコ代や酒代を稼ぐために日雇いに出たり、街をうろついたり、人にたかったりする。生活能力は崩れているのに、欲求のためだけには動く。いわば「限界生活者」です。

引きこもりは、ある意味で家族の経済力という保護膜があるからこそ成り立つ状態です。その保護膜すらないまま社会の端を漂う人たちは、統計にも表れにくく、「見えない層」になりがちです。

非正規雇用やフリーランス、無職の人の多くは、病気やけが、心の不調ひとつで生活が揺らぐリスクを抱えています。限界界隈は、遠い世界の話ではなく、社会のすぐ隣にあるグラデーションなのです。フリーランスの中でも特に不安定な漫画家や配信者の実情も合わせてどうぞ。

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